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附属高等学校天王寺校舎の生徒が科学コンクールで文部科学大臣賞、国際大会出場へ

2023.01.19

附属高等学校天王寺校舎の生徒が科学コンクールで文部科学大臣賞、国際大会出場へ

 第66回日本学生科学賞(*1)の中央表彰式が2022年12月24日(土)に日本科学未来館で行われ、附属高等学校天王寺校舎3年生のブランデル葉奈さんが、文部科学大臣賞個人を受賞しました。受賞した研究作品名は「アリの秘密 ~アリは、どうやって滑らかな壁を登っている?~」。

 今回の受賞は、地方審査(大阪学生科学賞)で大阪市長賞を受賞して中央審査の対象に選出された後、中央審査で書類審査とオンラインでの最終審査(12月18日(水))を経て至ったもの。AIなどのITを活用した実用的な研究が多く受賞する一方、審査員講評では、ブランデルさんの研究に対しては「とても研究の楽しさが伝わり、わくわくする内容でした」と評価されました。

 同校の小西啓之校舎主任は、 「ブランデルさんは、本校のプログラム『プルーフⅡ?Ⅲ』(*2)の課題研究で、物理分野をテーマに3年間取り組んできました。1年生のときに『細く流れ落ちる水がちぎれる位置と水の太さの関係』に、さらに2年生では『表面張力の違いによる流れ落ちる水のふるまい』について取り組み、研究する面白さを実感。3年生で今回受賞した研究テーマに取り組みました。 理数情報教育系(本学)の辻岡強教授のサポートのもとで知的好奇心をもって主体的に研究を進めていたことが評価され、誇りに思います 」と振り返りました。

 ブランデルさんは、2023年5月にテキサス州ダラス(アメリカ)で開催されるISEF(*3)への出場も内定しており、2022年5月に出場した中島里菜さんに続き、同校からは2年連続の出場となります。


*1 日本学生科学賞は、中学生?高校生を対象に1957年に開始した科学コンクール。毎年9~10月、身の回りの小さな疑問や不思議の解明、教科書に書かれている学説に対する疑問の解決などについて、 個人、もしくは生徒が共同で取り組んだ実験?研究?調査作品が募集され、専門家による書類審査とプレゼンテーション審査の後、優秀な作品を表彰されるもの。
*2 プルーフⅡは、異学年集団で自ら課題を見つけて研究を行う課題研究の科目であり、プルーフⅢは、大学教員の指導を受けながら個人で課題研究を行うプログラムである。
*3 ISEF(International Science and Engineering Fair)は、「国際学生科学技術フェア」などと和訳され、世界75以上の国と地域の約700万人から選ばれた約1700人の高校生が自分たちの研究を披露しあう科学研究コンテスト。半世紀以上も続いている伝統あるフェアで、毎年5月にアメリカの都市で開催される。

研究内容の概要

アリはガラスなどの滑らかな壁を登ることができる。このことを不思議に思い、文献調査を行った。先行研究から、アリには吸盤があり、粘着物質を持つことが判明している。物質の表面の小さな凹凸に爪や毛をひっかけている可能性があるという推測もされている。また、アリと同じように壁を登ることができるヤモリは、分子と分子の間に働く引力「ファンデルワールス力」 で登っているということも判明している。本研究では、これらを基に立てた4つの仮説(①ファンデルワールス力説、②爪や毛をひっかけている説、③粘着説、④吸盤説)を、大阪教育大学構内にいるクロオオアリを用いて検証し、アリがどのようにして滑らかな壁を登っているのか明らかにした。


受賞報告後の記念撮影(左からブランデルさん、小西校舎主任)


表彰式の様子


表彰状とともに授与されたトロフィー

(附属高等学校天王寺校舎)