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エッセイ

小学校
2021/01/26
切磋琢磨の環境
 

社会人になっても、大学の先輩や後輩と飲みに行くことがしばしばある。同じ職種の人が多いだけに、仕事の話を肴にビールが進むこともある。話す内容は様々だが「授業実践」が多い。 

授業実践に正解は無いと思う。どれだけ人の実践を真似しても、学級ごとに子どもたちの姿は違うのだから上手くいかないことの方が多い。だからと言って、聞いた実践を聞き流すだけでは勿体ない。自分なりに解釈をして「自分のクラスならどうやってその実践を進めるだろう」と考えることが面白い。さらに言えば、「解釈した実践を行って子どもたちがどう成長するか」までのゴールを見据えることが、教師の数ある魅力の中の1つではないかと思う。子どもたちにハマった実践もあればハマらなかった実践もある。その都度、自分自身で振り返り、次に向けてアップグレードを行う。最近はその繰り返しである。   

思いついたことはアウトプットしたくなる。次に飲みに行く時には「この実践を話そう」「あの人はどんなことを発見したんだろう」「自分の想像を超えるようなことをしてるんだろうな」とワクワクが止まらない。同職だからこそ、情報を共有して切磋琢磨していくことは大切だと思う。そんなこんなで話しは尽きず、仲間と飲むビールも美味しいわけである。 

もちろん、自分たちの話の中心には子どもたちがいる。次の学年に上がるまでの目標像に少しでも近づくために日々を奮闘している。そんな時に、ふと1人の子どもが口にした「道徳が苦手やってんけど最近得意になったかもしれん。」という言葉がどれほど嬉しかったか。もちろん、試行錯誤した実践が実った嬉しさもあるが、何より子どもが自分自身で成長を感じとった場面に遭遇した喜びの方が遥かに大きい。

この様な体験もまた、誰かに話したくなるものである。自分一人だけではなく、仲間と切磋琢磨しながら仕事をしていく。さらに、目の前の子どもたちと一緒に成長し合える環境に身を置けていることは、教師冥利に尽きると思う。