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エッセイ

保育園
2020/07/14
職場体験学習での再会

鏡に映ったアラフォーの老け顔を見て、「イケメン先生」と呼ばれて人気者だったあの頃が懐かしいなぁと時々思います。保育士として勤務し始めたのは今から10数年前。人気があれば実力も伴うという都合の良い話がある訳もなく、当時は当時で目の前の子ども達や保育士の業務の多さに必死の毎日でした。  
入職1年目に初めて担当したのは3歳児のクラス。そのクラスの子のほとんどは2歳児クラスからの進級児達で、比較的園生活のリズムが身についている子が多かったように思います。ただ1人だけ、4月に入園したばかりの男の子は別でした。着替え、トイレ、給食と何かにつけてお友だちより時間がかかってしまうその子に、同じく4月に入職したばかりの自分と重なったのかつい気にしてしまいがちだったことを覚えています。 

持ち上がりで3年間担任を務め、自分の名前すら言えないくらい恥ずかしがり屋だった彼も無事に卒園を迎えました。最初に送り出した子ども達のことはやはりいつまでたっても忘れられないものですね。今でも時々当時の毎日を思い出してしまいます。 

さて、それから数年後のある日、小学校の職場体験学習でその男の子が園に来てくれました。それまでにも職場体験学習で卒園児が来てくれることはありましたが、まさか彼が来るとは思ってもおらずびっくり!?相変わらず恥ずかしがり屋さんの彼は、自己紹介の声もとても小さな声。あの頃と全然変わってないなぁとニヤニヤしながら見守っていました。それにしても高学年の男の子が職場体験学習で保育園を希望するのは勇気がいったはず。恥ずかしがり屋の彼がよく立候補できたなと勝手に感心までしていました。 

体験学習の最終日に「なんで保育園を選んだん?」と尋ねると、「保育園の時がめっちゃ楽しかったからと、先生がどんな先生になったか見たかってん。」とまさかの答え。その後の「先生、声大きくなったな。」の一言には思わず笑ってしまいました。どうやら彼も彼なりに1年目の私のことを気にかけてくれていたようです。 

そんな当時は声が小さかったらしい私ですが、今では小さな保育園の園長先生になりました。大学生の年齢になった彼に今の私はどう見えるのでしょうか?当時よりも成長して見えていると良いなぁと切に願います。