ラボ訪問 神鳥 和彦 教授
毎授業、理科実験のパフォーマンス
教員養成課程 理科教育講座
神鳥 和彦 教授
「わたしの授業では、毎回、演示実験を学生に見せます」
特殊なビニール袋の中で水素と酸素を電気火花によって爆発させて水を生成する実験、超伝導の実験、塩化ナトリウム(塩)を石英ビーカー中で摂氏800度まで熱して溶かし、液体になった塩に電極を差し込んで電気を通す実験など、理科実験のパフォーマンスを繰り広げます。
「学生たちには「君たちは理科の教師になるのだろう。それなら実験を主体にした授業をしなければならない。子どもたちに科学的な興味?関心をもたせる使命をもっているのだから」と熱いメッセージを送り続けています。そのため、研究室では一人ひとりに自分の研究テーマをもたせているといいます。
生き生きとした表情で語る神鳥教授は、研究者であるとともに、学生に対して懇切丁寧な指導をする教育者としての顔をもっています。
現在の専門分野は「コロイドおよび界面化学」。様々な無機微粒子の調製とその性質を調べる基礎研究です。たとえば、シリカゲル (silica gel) とは、メタケイ酸ナトリウム (Na2SiO3) の水溶液の加水分解で得られるケイ酸ゲルを脱水?乾燥したもので、市販の菓子袋などに入っている乾燥剤の成分となる物質です。
現在、教授が興味をもって研究している物質は、組成式がα-Fe2O3で表わされるヘマタイトやCa10(PO4)6(OH)2で表わされるカルシウムヒドロキシアパタイト等です。10~数百ナノメートルの大きさをもつこれらの微粒子を、イオンから合成する研究をしています。また、カルシウムヒドロキシアパタイトは、人間の骨や歯の主成分であるため、タンパク質などの生体高分子との親和性が高く、これらの吸着挙動に関する研究、さらに、カルシウム以外の金属を用いた、様々な金属リン酸塩粒子に関する研究も手がけています。
学生には様々な実験を経験してもらい、教師となって学校現場で“理科って面白い”と思う子どもたちを育ててほしいと願っています。
神鳥教授は、「平成22年第20回日本無機リン化学会表彰」の最高賞である「学術賞」を受賞しました。
(2010年11月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。