STUDENTS NOW! 遅 之恒 さん
積極的なコミュニケーションと新しいことへの挑戦
学校教育教員養成課程 特別支援教育専攻 4回生
遅 之恒さん
日本に来て6年目、日本語学校で2年学んだ後に本学へ入学した中国?大連市出身の遅さん。撮影を始めると「撮影されることはあまりないので…」とはにかみます。緊張した様子でカメラへと目線を向ける遅さんですが、 留学のきっかけを質問すると明るい表情に変わり、「母の勤め先が中国にもオフィスを置く日本企業です。 その納涼会に参加したときに日本のマナーや礼儀に感銘を受けました。 そんな国でいろんな人とコミュニケーションを取ることで『自分が想像できなかったことや思考力を身に付けたい』『自立して成長したい』と思ったんです」と話し始めます。
なかでも本学の特別支援教育専攻を選んだ理由は、中国のある映画がきっかけ。末期がんになった父親が、残された時間で知的障がいをもつ息子の社会参加への道を支える姿を描いた作品だったといいます。「障がい児本人やその親が抱える悩みを知り衝撃を受けました。もともと日本のドラマやアニメが好きでそれも留学したかった理由の一つですが、その映画では日本の特別支援教育のことも取り上げられていて、国民健康保険などの社会保障制度も進んでいる日本でこの分野を学ぶことを決意しました」
そこから、ほぼすべての障がい種について学べること、教員になる道もあることや学習環境が充実していることから本学へ進学を決めたという遅さん。大学生活のなかでも大変だったのは教育実習だったようで、周りの友人や先生からの励ましや応援がなければ乗り越えられなかったかもと話しながらも「大学で学ぶこと以外にも、臨機応変な対応の重要性を痛感しました。学校現場に関わらず社会に出たら大切な力だと思うので、いろんなことに挑戦しながら身に付けていきたいです」と前向きな姿勢。
学業以外でも留学の醍醐味として、「文化や伝統を肌で感じられることが魅力です。友人との会話や、接客中心のさまざまなアルバイトに挑戦することでコミュニケーションを取ることができて、新しい価値観の発見と成長の毎日です」と胸を弾ませた様子で話します。「コロナ禍で外出できない時期もありましたが、嵐山(京都市)での紅葉狩りや淡路島(兵庫県)に海を見に行くなど、関西周遊を楽しんでいます。文化の違いも興味深くて、日常的なことだと、日本ではお茶パックの使用頻度が高いけれど中国では茶葉をそのままお湯に溶かして飲むことが多い、とか、京都で抹茶アイスを食べたときにこれは中国ではあまり売られていないな、とか」と目を輝かせていました。
紆余曲折あり、学校現場ではなく、中国語と日本語を話せる今のスキルも生かして働ける貿易関係の仕事に就くことを決めた遅さん。「日本語でのコミュニケーションスキルももっと上げたいし、これからは英語も勉強して話せるようになりたいと思っています。仕事で港にいくこともあるのでいざというときのために、今はスイミングスクールに通って泳ぐ練習をしています」チャレンジ精神あふれる遅さんが、新しいことにたくさん挑戦していく姿が目に浮かびます。
(2022年11月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。