本大学院では、1年次の後期に、教育研究方法演習という必修科目が設けられています。この科目においては、教育実践研究を進めていくにあたり必要な方法論について、実例とともに学び、自身の課題に生かすことを目的としています。
第4?5回目の授業においては、研究倫理をテーマに進められました。教育実践研究は、学校、教育委員会や教育センター等で教師や児童?生徒?保護者と多くの関わりを持たないと成立しない研究です。このため、統計的な手法等の方法論だけではなく、講義初期の段階で研究倫理についても扱い、考えていく機会を設けています。
まず、ゲストティーチャーとして、本学の研究担当でもある向井康比己副理事にお越しいただき、研究倫理に関する講義を行っていただきました。「なぜ研究不正はあとを絶たないか」「研究をすすめる上での個人情報の保護」「データの収集?管理?処理」「捏造、改ざん、盗用などの研究不正行為」などについて、過去問題となった事例を交え、わかりやすく講義をいただきました。
次に、このお話を受け、自分自身の実践課題研究に即したときにどのような倫理上の問題があるかを考え、受講者間で議論をしました。考えられ得る問題は数多くありますが、教育実践研究者として、誠意を持って実践研究をすすめていくという意識をより高めることができた一方、その視点で実践研究をとらえる難しさも自覚できたのではないかと思います。